無彩色の家



かつて楽園と呼ばれた街


数年前に街は消滅し、名前までもが消えかけようとしている


タイルとステンドグラスの残る家に自然と足が傾く


お茶屋と書かれた屋号に、もはやその意味は無く


どこにでもある住宅としての役割しか果たしてはいない



もう、この街に妓など存在はしない



綺麗に片付けられた客室は、どこか陰鬱な空気が漂っていた


帰り際、階段の窓から光が差し込んでいた


無彩色に輝くステンドグラスはとても綺麗だった